カレーパウダーで作るオーストラリアの家庭料理『カレードソーセージ』の基本レシピ

カレーパウダーを使って作る「カレードソーセージ(Curried sausages)」は、オーストラリアの家庭料理です。

焼き色をつけたソーセージを、玉ねぎやにんじんと一緒にカレー風味のソースで煮込むだけなので簡単に作れます。

肉のうまみが溶け込んだソースを、ふんわりしたマッシュポテトにからめたり、パンですくったり。いつものソーセージが、食卓の主役になる一皿です。

 

カレードソーセージってどんな料理?

カレードソーセージは、オーストラリアで長く親しまれてきた家庭料理のひとつです。現地の料理メディアでは、昔ながらの家庭料理や、懐かしさを感じる夕食として紹介しています。

ソーセージをカレー風味のグレービー状のソースで煮込む料理で、玉ねぎ、にんじん、グリーンピースなどを合わせるものから、りんごやレーズンを加えるものまで作り方には幅があり、マッシュポテトやパンと合わせたり、カレーライスのようにご飯を添えたりと、好みに合わせてアレンジできるのも魅力です。

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うちのオーストラリア人パートナー(60代)は、60年代の食べ物というイメージを持っているそうです。

英国式カレーの流れをくむ、オーストラリアの家庭料理

カレードソーセージは、誰が、いつ、どこで最初に作ったのか?それを特定できる資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。

ですがSBS Foodは、この料理を英国式カレーをオーストラリア風にした、定番の家庭の夕食として紹介していることから、インドと英国の交流や植民地支配を背景に形成されたカレー文化がオーストラリアにも伝わり、現地の家庭料理に取り入れられていった、という大きな流れの中に位置づけられそうです。

オーストラリアで生まれた料理というよりも、英国式カレーの流れをくみ、オーストラリアの家庭料理として定着した料理と考えた方が正確かもしれませんね。オーストラリアの食文化とのつながりは十分にある料理です。

 

タスマニア大学のFrieda Moranによる研究論文『Ordinary and Exotic: A Cultural History of Curry in Australia』(2017年)には、1928年7月7日付『Telegraph』の「Curried Sausages」が引用されています。

そこに登場するのは、ソーセージに、りんご、バナナまたはレーズン、玉ねぎ、乾燥ココナッツ、カレー粉などを合わせるレシピ。果物を入れる作り方にも、長い歴史があることが分かり、少なくともその時点で、同名のレシピが掲載されていたという記録があります。なお、ここでは新聞原紙ではなく、研究論文に収録された引用を参照しています。

 

ドイツの「カリーヴルスト(Currywurst)」も、ソーセージとカレー風味を組み合わせる料理で、カレードソーセージに似ています。ただ、トマトベースのソースをかける屋台料理として知られるカリーヴルストと、野菜を加えて煮込むオーストラリアのカレードソーセージは別の料理です。カリーヴルストには、ベルリンでHerta Heuwerが1949年に考案したという有名な説がありますが、その起源自体にも異説があります。

基本のカレードソーセージ

まずは、ソーセージと野菜をストックと小麦粉でとろみをつけたカレーソースで煮込む、シンプルなレシピを紹介します。

分量:2人分/所要時間の目安:約35〜40分/道具:深めのフライパン

計量とレシピについて
オーストラリア基準で、大さじ1=20ml、小さじ1=5ml、1カップ=250mlです。以下の分量と時間は、本記事用に組み立てた未試作の提案です。ソーセージの太さや塩分、鍋の大きさに応じて調整してください。

材料(2人分)

材料の分量はあくまでも目安です。ソーセージやストックの塩気、好みの辛さに合わせて調整してください。ソースのとろみは、野菜から出る水分や煮詰め具合でも変わるため、仕上がりを見ながら水分量を調整しましょう。

  • 生のビーフまたはポークソーセージ – 300g
  • 玉ねぎ(brown onion)– 150g(中1個程度)
  • にんじん – 100g
  • 冷凍グリーンピース – 60g
  • にんにく – 1片
  • カレーパウダー – 小さじ2(10ml)。辛さ控えめなら小さじ1から
  • 小麦粉(plain flour)– 12g
  • チキンストック – 300ml。粉末やキューブを使う場合は、表示どおりに溶いたもの
  • 油 – 10ml(小さじ2)。ソーセージから出る脂に応じて調整
  • 砂糖 – 小さじ1/2まで(好みで、仕上げに)
  • 塩・黒こしょう – 必要に応じて少量
  • マッシュポテト、パン、またはご飯 – 好みの量

 

Curried sausages

今回使用するソーセージは、オーストラリアのスーパーや精肉店で買える生肉を詰めた加熱前のプレーンなビーフソーセージ、またはポークソーセージ。(加熱済みでも可)太さや商品によって1本の重さが違うので、本数より合計の重さを目安にしてください。

 

カレーパウダーは、オーストラリアで古くから親しまれているオレンジ色の缶のKeen’s Traditional Curry Powderを使います。

Keen’sのカレーパウダーには塩も含まれており、ソーセージやストックにも塩気があるので、塩は最初から加えず、最後に味見をして調整しましょう。また、メーカーは中程度の辛さと案内しているため、辛いものが苦手な場合はカレー粉を少なめにして始めてください。(S&Bの赤缶カレー粉などでも代用できますが、スパイスの配合や塩分が異なるため、味は変わります)

オーストラリア買い物リスト

作り方

  1. 野菜を切るCurried sausages玉ねぎは薄切り、にんじんは厚さ3〜4mmの半月切り、にんにくはみじん切りにします。冷凍グリーンピースは凍ったまま使えます。
  2. ソーセージに焼き色をつけるCurried sausages深めのフライパンに油を入れ、中火でソーセージを転がしながら6〜8分ほど焼きます。表面に焼き色がついたら取り出し、扱える温度になってから2〜3cm幅に切ります。この段階では中まで火が通っていなくても構いませんが、その場合は続けて煮込み、途中で調理を中断しないでください。
  3. 玉ねぎとにんじんを炒めるCurried sausages
    フライパンに脂が多くたまっていたら、薄く残す程度に取り除きます。玉ねぎとにんじんを入れ、中火〜弱めの中火で5〜6分炒めます。にんにくを加えて、さらに30秒ほど炒めます。
  4. カレー粉と小麦粉をなじませる
    Curried sausages
    弱火にしてKeen’sを加え、焦がさないように20〜30秒混ぜます。小麦粉を加え、粉っぽさがなくなるまで30秒〜1分ほど炒め合わせます。
  5. ストックを加えて煮込む
    Curried sausages
    ストックを3〜4回に分けて注ぎ、その都度よく混ぜてのばします。ソーセージと出た肉汁を戻し、煮立ったら弱火にします。ふつふつと煮立つ火加減で、時々底から混ぜながら12〜15分を目安に煮込みます。
  6. グリーンピースを加え、味を整える
    グリーンピースを加え、全体が熱くなるまでさらに2〜3分煮ます。にんじんが軟らかく、ソーセージの中心まで十分に火が通ったことを確認してください。食品用温度計でソーセージの中心が75℃以上になったことを確かめると安心です。煮込み時間だけで判断せず、太いものは加熱を延長します。
  7. とろみを調整して盛り付ける
    ソースが濃すぎる場合は、水を15〜30mlずつ加えます。ゆるい場合は、少し煮詰めてください。味見をして、必要なら砂糖、塩、黒こしょうを加え、マッシュポテトやパン、ご飯と一緒に盛り付けます。

※ 加熱温度は、FSANZ(Food Standards Australia New Zealand)の家庭向け案内を参考にしています。生肉に触れた包丁・まな板・皿は、洗浄してから盛り付けなどに使ってください。

作りやすく仕上げるためのポイント

にんじんは薄めに切り、早めに火を入れる

とろみのあるソースに厚いにんじんを入れると、ソースはできたのに野菜が硬い、ということがあります。このレシピでは薄切りにし、玉ねぎと一緒に先に炒めます。煮込みの最後にも、竹串などで軟らかさを確認してください。

塩と甘みは、最後に決める

ソーセージやストックを変えるだけでも、塩分やうまみは変わります。まずは追加の塩と砂糖を入れずに煮込み、火が通ってから味見をしましょう。辛さは砂糖だけでは消えないので、辛いものが苦手なら、最初に入れるカレー粉を減らすのが基本です。

ストックは、希釈後の量で計る

材料表の「300ml」は、そのまま調理に使える濃さにしたストックの量です。濃縮液や粉末を300ml使うという意味ではありません。濃縮タイプは、パッケージの割合に従って薄めてから計ってください。

基本から広げる、3つのアレンジ

以下はいずれも基本レシピ2人分に対する変更案です。まずはひとつずつ試すと、味の違いを確かめやすくなります。追加材料の分量も未試作の目安です。

1.生クリームで、まろやかに

追加するもの:生クリーム(pure creamなど)40ml

基本レシピのストックは300mlのまま使います。ソーセージと野菜に火が通ったら、生クリームを加え、弱火で1〜2分温めます。煮立て続けず、最後にとろみと味を整えてください。

生クリームのコクを加えるアレンジです。少しゆるくなった場合は、弱火で様子を見ながら濃度を整えます。

2.ココナッツミルクで、風味を変える

変更するもの:ストックを200mlに減らし、無糖のココナッツミルク100mlを加える

基本レシピのストック300mlのうち、100ml分をココナッツミルクに置き換えます。ストックで小麦粉をのばしたあとに、ココナッツミルクを加えて煮込んでください。

飲料用の薄いココナッツミルクではなく、缶入りなどの調理用を想定しています。製品によって濃さが違うので、仕上がりが重ければ水を少量足して調整します。

3.りんごとレーズンで、昔ながらの甘みを

追加するもの:りんご75g、レーズンまたはサルタナ15g/砂糖は省く

りんごは皮と芯を除いて1cm角に切り、レーズンまたはサルタナと一緒に、ソーセージを戻すタイミングで加えます。ストックは基本どおり300ml使い、りんごが軟らかくなるまで煮てください。

酸味のあるGranny Smithを選ぶと、甘みだけでなく酸味も加わります。Keen’s公式にもりんごとレーズンを使う作り方があり、歴史の項で紹介した古いレシピにも果物が登場します。甘いおかずが好きな人に試してほしい組み合わせです。

何を添える? ご飯を炊かない日の夕食にも

  • マッシュポテト:カレーソースをからめながら食べる組み合わせ。ソースを少し濃いめに仕上げても楽しめます。
  • パン:バゲットやカントリーブレッドなど、ソースをすくえるものを。好みで軽く温めて添えます。
  • ご飯:煮込みをおかずにしても、ご飯にソースをかけても。残りご飯を使いたい日にも合わせられます。

基本レシピにじゃがいもは入れていないので、マッシュポテトを添えても具材が重なりません。葉物のサラダや温野菜を添えて、野菜を足すのもよいでしょう。

残ったときの保存と温め直し

保存する分は、浅い清潔な容器に小分けして速やかに冷まし、調理後2時間以内に冷蔵庫へ入れます。完全に冷めるまで、鍋のまま長時間室温に置かないようにしてください。冷蔵庫は5℃以下に保ち、冷蔵したものは3日以内を目安に食べ切ります。

温め直すときは、食べる分だけ取り出し、必要なら水を少量加えて混ぜながら、中心まで75℃以上にしっかり加熱します。保存と再加熱の目安は、NSW Food Authorityの家庭向け案内を参考にしています。

いつものソーセージを、もうひとつの食べ方で

焼いて食べることが多いソーセージも、カレーパウダーと野菜を合わせれば、ソースまで楽しめる煮込み料理になります。

まずは玉ねぎ、にんじん、グリーンピースの基本形から。気に入ったら、クリームを加えたり、りんご入りを試したりして、好みの一皿を探してみてください。食料品棚のKeen’sを使う、次の夕食の候補になるかもしれません。

 

参考資料:料理の背景と基本的な構成は、以下の資料・公開レシピを参照しています。掲載した2人分の配合とアレンジの分量は、本記事用に組み立てた未試作の提案です。
SBS Food:Classic Aussie curried sausages ― 英国式カレーとの関係、オーストラリアの家庭料理としての位置づけ、現地の計量基準。
Frieda Moran:Ordinary and Exotic: A Cultural History of Curry in Australia(2017年、PDF) ― 本文39ページ・脚注49に、1928年の「Curried Sausages」の引用。
ドイツ特許商標庁(DPMA):The Spirit of Currywurst ― カリーヴルストの1949年誕生説と、起源をめぐる異説。
RecipeTin Eats:Curried Sausages ― 焼いたソーセージと、ストック・小麦粉を使うグレービー系の構成、付け合わせ。
Keen’s公式:Curried Sausages ― りんご、レーズン、生クリームを使うバリエーション。
Keen’s公式:Traditional Curry Powder ― 原材料と辛さの案内。
エスビー食品:赤缶カレー粉に塩は入っていますか? ― 代用品との塩分の違い。
FSANZ:Food safety basics ― ソーセージの中心温度、冷蔵温度、衛生管理。
NSW Food Authority:Entertaining at home ― 残り物の冷蔵、保存期間、再加熱。