ピーチメルバ (Peach Melba) はイギリスのロンドン発祥のデザートですが、時々オーストラリアのデザートとしても紹介される事があります。というのも、19世紀にオーストラリアのオペラ歌手ネリー・メルバ (Nellie Melba) のために作られたものだからです。
デザート自体は甘く煮た桃とバニラアイスクリームにラズベリーピューレをかけたシンプルなもので、簡単に作れます。
これからの暑い季節にも良さそうなので、機会が有ればぜひ食べてみてください!
ピーチメルバの由来となったネリー・メルバ
ピーチメルバは、オーストラリア出身のソプラノ歌手ネリー・メルバに敬意を表して作られたデザートで、1892年か1893年のロンドン公演の後、彼女のために開かれたサボイホテル (Savoy Hotel) のディナーパーティで出されました。
このデザートを考案したのは、フランス人シェフで料理長だったオーギュスト・エスコフィエ (Auguste Escoffier) です。
さて、このネリー・メルバ、オーストラリアにいたらきっと顔を見た事がある人が多いと思うのですが、どこでか分かりますか?
ソプラノ歌手ネリー・メルバ
はい、実はネリー・メルバはオーストラリアの$100札にも描かれてます。あまり出回らないのでなじみがない人もいるかもしれませんが…。(2020年10月に新しい$100札がリリースされたのに、写真が旧札ですみません)
デイム・ネリー・メルバ (Dame Nellie Melba 1861– 1931) は、世界的名声を得たメルボルンのリッチモンド生まれのソプラノ歌手です。メルバというのはメルボルンから名前を付けた芸名で、本名は Helen Porter Mitchell。デイムは叙勲を受けた女性に対して使われる敬称です。
1927年にオーストラリア人として初めて雑誌『タイム』の表紙を飾った人物でもあり、1887年ブリュッセルでデビューした後、ロンドンやパリなどで大成功を収めました。
…ね?オーストラリアに関わりがあるデザートでしょ?という事で、ピーチメルバの簡単なレシピを紹介しますので、興味があれば作ってみてください。
ピーチメルバの作り方
種はこの時に取っても良いですが、煮込んだ後に取ると取りやすいです。
混ぜながら砂糖を溶かします。
火の加減を調整しながら沸騰させて、桃が柔らかくなるまで30分くらい煮ます。つまりコンポートを作るんですね。
ある程度桃を覚ましたら、種と皮を取り除きます。皮はスルッと剥けると思います。
ラズベリーは生でも冷凍でも大丈夫です。粉砂糖、レモン汁をブレンダーやフードプロセッサーで潰して、濾すと滑らかになります。でも、今回私は市販のベリーミックスソースを買って代用しました。
⑥ 盛り付け
容器に桃とバニラアイスを乗せ、ソースをかけたら出来上がりです。
砂糖などを水に入れて沸かせシロップを作り、それに数時間漬けて冷蔵庫で冷やすというレシピもあります。うちのパートナーはコンポートよりも砂糖を振りかけて冷やしておいた桃が好きなので、そっちの方が喜びそうです。
もし作るのが面倒なら、桃缶を使っても全然良さそう。
アレンジ
それにしても、桃とバニラアイスとラズベリーソースのコンビネーションは本当によく合います。
現在は梨やアプリコット、イチゴを使用したり、ラズベリーソースで代用したり、アーモンドスライスやホイップクリームをトッピングしたりと、現在は数多くのアレンジが存在しますが、エスコフィエは他のレシピは味のバランスが崩れてしまうと言っていたそうです。
とは言え、好みで色々試してみるのも楽しそうですね。
サーブの仕方も平たいお皿に盛ったり、パフェのようにグラスに入れてみたり…。ちょっとしたおやつからパーティまで、色々と使えそうです。
メルバトーストというのもある
ちなみに、メルバトーストという名前が付けられた薄くてカリカリのトーストもあり、同じくオーギュスト・エスコフィエが考案した食べ物で、今日でもスープやサラダと一緒にサーブされたりします。
こちらもまたいずれ詳しく書きますね。
オーストラリアでネリー・メルバを探そう!
ところで、$100札は先に紹介しましたが、オーストラリアにはネリー・メルバにまつわる場所を探す事が出来ます。
- メルボルン音楽院
彼女はヨーロッパで大成功を収めた後、リッチモンドに音楽学校を設立。現在はメルボルン大学の音楽院 (Melbourne Conservatorium) に統合されていますが、そこにはメルバホールという音楽堂があります。
※ 2019年にはサウスメルボルンのイアンポッターセンター (Ian Potter Centre) に場所を移しています。 - メルボルンのメルバ像
メルボルンのドックランズにある Waterfront City には、2008年にメルバの像が建てられました。他にもカイリ・ミノーグなどのオーストラリア出身有名人の像があります。 - シドニーにある壁の彫刻
シドニーのタウン・ホールの南壁に “Remember Nellie Melba” と刻まれ埋め込んである彫刻があり、これは1941年5月19日のメルバの誕生日にこのタウンホールで行われた戦争基金愛国コンサートを讃えて、Arthur Murch によって彫られたものです。 - キャンベラのメルバ地区
キャンベラ郊外のメルバは、彼女にちなんで命名された地名です。
探せばもっとあるかもしれません。
肝心のオペラに関して私はあまり詳しくないので、とりあえず YouTube を貼っておきます。
おわりに
デザートから過去のオーストラリアを発見するのも面白い作業だと思います。
そう思うと普段は何気なく素通りしていた場所も、ちょっと気になってくるかもしれませんね。