オーストラリアやニュージーランドの子供たちにとってフェアリーブレッド (Fairy bread) という食べ物はお気に入りのおやつなんだそうで、特に誕生日パーティーには必ず食べる定番です。
だから、オーストラリアの人は子供時代のイベントと言うと、このフェアリーブレッドを思い出してノスタルジックな気分になるんだとか。
…素っ気ない返事の60年代生まれのうちのパートナーですが、彼の子供時代もやはり誕生日にはたくさんのごちそうと一緒に必ずフェアリーブレッドが出て来たそう。
正直、日本人の感覚からすると「え…?これおいしいの?」と思ってしまう人もいると思いますが、めちゃくちゃ簡単に作れるので試してみてはいかがでしょうか。
子供が大好きフェアリーブレッド
フェアリーブレッド、直訳すると “妖精のパン” は、白い食パンにマーガリンかバターを塗って、カラフルな粒々をまぶしたもの。
このカラフルな粒々が子供に人気なようです。確かにアイスクリームとかチョコレートとか、カップケーキとかドーナッツとか、色んなものにかかっているのを見ますからね。
カラフルな粒々『ハンドレッズ&サウザンズ』
カラフルな甘い粒々はオーストラリアで “100’s & 1000’s (ハンドレッズ&サウザンズ)” と呼ばれていて、スーパーマーケットには色んな色や形が売られています。
また、ハンドレッズ & サウザンズは “ジミーズ (Jimmies)” や “ノンパレイユ (Nonpareils)” などと呼ぶ人もいるようで、こういう細かい粒々を総称して “スプリンクルズ (Sprinkles)” と言います。
このフェアリーブレッド、オーストラリアデーに作る人もいるようですが、子供がいない我が家ではほとんど縁がない食べ物です。
そう思うとちょっと作ってみたくなったので、朝食にしてみました!
フェアリーブレッドを作ろう‼︎
今回トッピングに使うハンドレッズ&サウザンズは、色んな種類が少しずつ小分けされているセット ($2) を買いました。これなら他にも色々使えそうだと思ったので。
フェアリーブレッドの材料はたった3つです。
- 白くて四角い食パン
- マーガリンかバター
- ハンドレッズ&サウザンズ
三角形のフェアリーブレッドが基本なので、パンは四角い食パンである事と、ホールミールやしゃれたパンなどではなく必ずスーパーマーケットで売っている白い食パンを使うのが重要なんだそうです (笑)
でも、ここで問題が!
うちにあったパートナーがお気に入りでいつも買ってるふわふわ食パン、四角じゃなかったんです…(;_;)
まあ、仕方ないのでこのまま使います。
バターの場合は塗りやすいように事前に室温に戻しておくと良いです。
② 食パンにハンドレッズ&サウザンズを振りかける
これで三角形にします。
上手く重ねて、いびつな形は何とかごまかしました💦
あっという間に出来ちゃいますね!味はね…、んー多分皆さんが想像している通りです。
アレンジ
『Dollar King』で買ったオーストラリア型とカンガルー型
もっと見た目をかわいくしたければ、食パンをクッキーの型抜きで抜くと、更にファンシーな感じになります。
あと、バターの代わりにヌテラを塗ったり、他のカラフルな色を使ったりすると、また雰囲気が変わって良いかも。
ただ、型を抜いた場合は大量にパンの耳が余るので、クルトンや揚げ菓子などにしてください。
粒の中にチョコレートが入っているタイプの100’s & 1000’s も見つけたので、これでフェアリーブレッドを作るとまた違った感じになって面白いかも。
フェアリーブレッドはどうやって生まれたのか?
と言う事で、クッキーやパンケーキなどを作るよりは圧倒的に簡単に作れるフェアリーブレッドですが、いつ頃からどんな風にオーストラリアで食べられるようになったのでしょうか?
調べてみると、20世紀初頭のフェアリーブレッドはイーストを使わない卵とベーキングパウダーを使用して作られたティーケーキの一種だったようです。
1923年の Perth Sunday Times に載ったレシピによると、フェアリーブレッドはオーブンでゆっくりカリカリに焼いたとても薄いパンのスライスが紹介されていたそうで、ちょうど今日のメルバトーストのような感じの食べ物だったと。
1929年のタスマニアの新聞 Mercury に書かれた記事にも「子供のために開かれたパーティで、バターにハンドレッズ&サウザンズを乗せたフェアリーブレッドが食べられた」と説明されていますが、この頃のフェアリーブレッドはパンそのものだけを指している可能性があります。
では、いつからバターを塗ったパンにハンドレッズ&サウザンズを振りかけた現在のフェアリーブレッドになったのか?
始まりは、1921年にパースの Plaistowe Confectionery Company が出した広告だと言われています。
これにより次第にカラフルなフェアリーブレッドは子供の食べ物として普及していき、1935年にはシドニーの The Sydney Morning Herald がクリスマスに食べる子供のごちそうと言及。
この頃になると完全に今のフェアリーブレッドが確立していたようです。
(参考: A PEEK INTO AUSTRALIAN FAIRY BREAD HISTORY AND SOME FACTS ABOUT IT)
フェアリーブレッドの名前はどこからきたのか?
フェアリーブレッドの名前は、『宝島』や『ジキル博士とハイド』でも有名なスコットランドの小説家、ロバート・ルイス・スティーブンソン (Robert Louis Stevenson) が、1885年に出版した詩集『A Child’s Garden of Verses』の中にある詩が由来するのではないかと言われています。
その “フェアリーブレッド” という詩はここから読めます。↓
オランダにはフェアリーブレッドに似た食べ物がある
オーストラリア以外でフェアリーブレッドに似た食べ物があるのはオランダ。
カラフルな粒々ではなくチョコレートのスプリンクルを乗せるのは違いますが、“Hagelslag” という子供の食べ物はフェアリーブレッドにそっくりです。
フェアリーブレッドを思わせる商品
ちなみに、Streets というオーストラリアのアイスクリームブランドが2020年で100周年だったそうで、フェアリーブレッドを思わせるバースデーケーキバージョンの商品を販売してました。
実物はちょっと想像とは違いましたが、面白いですよね。
おわりに
本当は先週のパートナーの誕生日にフェアリーブレッドをサプライズで出したら面白いかも⁉︎ とも思ったんですが、ガチで嫌がられそうなのでやめました (笑)
でも、パートナーが誕生日パーティーではフェアリーブレッドの他にチョコレートクラクルズ (Chocolate crackles) もよく出てくるよと教えてくれたので、今度はそちらに挑戦しようと思います!
フェアリーブレッドもたまには作って食べようかな…。